ブログをすっかり放置していたけれど何とか元気でやっております。
この2週間くらいは中国を調べていた。
いろいろ本を読んだりしたけれど、一番役に立つ情報をくれたのは同期の中国人留学生だった。
僕は彼のことを知らなかったけど、友達が紹介してくれて、とりあえず聞いてみるか程度の気持ちで色々と聞いてみたら、
僕の視点をすごく理解してくれて、いった事のある場所とか、従兄弟が大学院生でヤオトン住居の研究をしているから紹介してあげる、とか、地元の友達に案内させてあげる...とか、もうすごく良くしてくれて、一気に旅が鮮明に現れはじめた。
中国人が優しいのか彼が優しいのかわからないけど、ちょっと感激してしまった。
もう一人友達の中国人留学生も、色々とアドバイスをくれた。
いやあ、異国の地にきて自分も大変だろうに、メールではじめて挨拶していきなり質問攻めする僕のようなやつに優しくすることは簡単なことではないよ。
そんなこんなでいろいろ調べたあと彼に行きたい場所を「提出」した。また後日スケジュールなど相談にのってくれるみたいだ。
中国の行き先は、大体6つのゾーンに分けた。
僕を誘う中国6ゾーン
・長江下流
→長江デルタと呼ばれるところ、烏鎮などの水運集落。あと園林という中国貴族の庭園がちらほら。漢民族伝統の四合院住宅から日本の寝殿造りにおける庭園についての系譜を以前調べていたことがあって(『かぐや姫の物語』の描写など含めた論で、まだ全然足りないけどいつかまた書き足したい)、一つは見ておきたい。ここはそんな長くは滞在しない。
烏鎮。まあ観光地化されています。でも人は住んでいるようだ
(http://www.nicchu.co.jp/photo/wuzhen/wuzhen.html)
・四川盆地
→長江と4つの支流が流れ、周囲を山脈に囲まれているので独特の文化圏が形成されている。四川料理のところ。かなり土壌が良いようで米などの大穀倉地帯であるとともに、四川大地震などのような地震多発地帯となっている。いかに場所に住み続けるかの知恵が生まれそうな場所である。チベット系のチャン族の集落などは四川大地震の震源。
チャン族の集落。早稲田文学部がかつて研究していたらしい。
(http://minzu360.com/photos/2181.html)
・黄土高原
→黄河上・中流域に広がる高原。かつて森林が生い茂っていたが、人類活動によって森林は消え、土壌流出などなかなか悪い環境にある。砂漠からやってきた砂塵の堆積による黄土が特徴。この黄土がかつて黄河を流れ、農耕文化・黄河文明の発達を促進したのだ。地面に穴を掘って住むヤオトン住居が分布する。ヤオトンからは若者をはじめとしてどんどん「地上に」人々は進出しているらしいが、打ち捨てられた地下住居はどうしているのだろうか。山西省や黄河蛇行部には地震帯もある。
ヤオトンの航空写真。
このように地下を掘り、そこからさらに水平方向に掘ったところが居住空間となる。夏は涼しく、冬はあたたかいという人々の知恵。これは下沈式というもので、ほかに崖をそのままくりぬいたものとかある(むしろそっちが最初な気がする)。(http://www2.odn.ne.jp/~t-nakazawa/trip/chi_p2.html)
下沈式ヤオトンの図面(http://www2.konan.ac.jp/weblog/inaba/yao-takoshasin.htm)。
ヤオトンでは湿気との戦い(壁一面に新聞紙貼ったりする人もいるらしい)とか、四合院住宅の平面との関係(四合院の中庭に樹が植えられないのは、ヤオトンにはじまるからかもしれない!)に興味がある。あと、打ち捨てられたヤオトンたちの活用法。
これが四合院という漢民族の住宅。軸があり、左右対称。
(http://www.geocities.jp/ziyun8689/siheyuan.html)
・タクラマカン砂漠(タリム盆地)
→
ウイグル語の「タッキリ(死)」+「マカン(無限)」で、生命の存在しない死の砂漠。ここに点在するウイグル族のオアシス集落。かつてのシルクロード沿い、文化の交流点。カレーズという地下水路を引いて集落を潤し、農業を行う。水の大事さが日本とはまったく違う。ウイグル住居は、外部の使い方が面白そう。夏は、外で寝るらしい。いまも砂漠によって集落がつぶれそうになったりしている。砂との戦い。砂の女。砂の中の労働。ここも天山山脈、クンルン山脈、パミール高原、カラコルム山脈に囲まれた孤島のような存在。盆地は孤独で、島と似ている。かつて海だった。シシカバブは絶対においしい。
真ん中のぽかんと空いた砂漠がタクラマカン。
ウイグル族の村(http://tabinomanimani.blog24.fc2.com/blog-entry-197.html)
・東チベット
→ガンゼ・チベット自治州のあたり。四川省の西の方。標高4,000mくらいで、ここにある「ラルンガルゴンパ」というチベット僧の修行の地は、宗教に生きる人々の暮らす映画のような場所で、是非行きたいと思っている。ラルンガルゴンパのチベット僧の家は、なぜか全部真っ赤だ。
ラルンガルゴンパ。厳しい土地に寄り集まって暮すチベット人。
・メコン川流域(雲南省)
少数民族の多い雲南省は高温多雨でほとんど東南アジアのような気候。ここに日本の米の源流があるという説も。日本の神社の鳥居に似たものや、似たような風習があるらしく気になる。タイ族の高床住居集落などは有名。四川省のチャン族と雲南省のハニ族、ラオスのアカ族の系譜がある。民居に見られるか。
タイ族の集落。確かに日本の原風景といった感じがしないでもない。
(http://rafale.kais.kyoto-u.ac.jp/worldagr/yunnan3.htm)
この6ゾーンを主眼に見ていきたいのだが、こう見ていると僕の目は漢民族以外に向いているようだ。いや園林とか四合院、ヤオトンなど中国伝統の漢民族の方面ももちろん興味があるものだけれど、あの大きすぎる土地の周縁に惹かれる。中国人と「されている」人々と、その土地。
中国の旅は幾分ノンマンダリントラベルになりそうだ。
旅の準備をしていて家にあったタブレットに地図をバンバン入れて持ち歩こうと思い、試みてみたらこれは相当に便利かもしれない。地球の歩き方とか、本もスキャンしてバンバン入れていける。
地図は、色んな地図を見れるサイトがちらほらある。
中国の地図は
このサイトがすさまじかった。地質図、土壌図、土地利用図、ハザードマップ、過去の地震のプロットなどかなり高精細に見れる地図を無料でゲットできる。
これらをタブレットでいじくりまわしながら「人がいかに住むか」を現地で学べるわけである。
今は中国は一段落したので、インドの予定も立て始めている。右も左もわからないからとりあえずwikipediaの「インドの地理」の項目を見ている。ヒンドスタン平原の肥沃さ。
インドではどんな屈強な男も必ず腹を壊すという。まして万年腹の弱い僕のことである。最近友達ん家で食べたマグロで食あたりをしたのだが、死ぬ程つらかった。こんな感じが続いたら生きていけなさそう。内臓アップデートをしたい。
あ、そういえば6月11日に出発することになった。航空券をとった。茨城空港という非常にマイナーな所から上海まで飛ぶ。何か大きな事件が無い限り11日にさよならです。
といってもインドまで行って10月に一度帰ってくるのですが。
いくら準備が忙しくても小説は生活から排除してはいけない。
安部公房の作品をまとめて入手したのでまたも彼の
『終わりし道の標に』読んでいる。
でもそればっかりじゃなくて笙野頼子の
『母の発達』を借りた。面白そう。
いまバイトの夜勤明けでこれを書いている、このくらいにして眠る。
今朝はかなり冷えている。