2015年4月23日木曜日

床下パラレルワールド

実家の床下の、シロアリ予防薬の効果が切れていた。業者が「そろそろやったほうがいいですよ」と言って高額な見積もりを示した紙が、冷蔵庫に貼ってあった。

地元の知り合いの大工に相談したら、自分でやれば1/10の値段でできると言われたので、先日自分で潜ってやってみた。

木部に塗る防虫油性塗料を、噴霧器で撒く。
床下にはじめて入ったが、そこは自分の家であって同時に自分の家じゃあないようなパラレルワールド。まっくろくろすけの世界である。
家族の成長を15年以上見つめてきた床下世界。


作業着にマスク、メガネ、頭にライトを点灯させながらのほふく前進である。
入った途端、少し湿った土の匂いがムッと香る。

日常の下に、こんな世界が広がっていたとは。人が真上を歩くと、床が軋む。
こんな住宅街にも、波打つ土が隠れている(ベタ基礎ではなく布基礎)ことにちょっと感動。

作業自体は、油性塗料ということもあって地獄のようだった。床下は、空気が止まっているのだ。舞うシンナー臭。
だから、湿気の逃げ道もない。

でも、業者が「泥団子が作れるくらい湿気でドロドロですよ」と言っていたが…
土はサラサラだった。
おいおいおい....全くの嘘をつかれていたのでした。

考えてみれば、床下に潜ろうなんて人は数少ない。10人いて1人いるかどうかだろう。だから、業者は好きなだけ嘘をつける。住人をいくらでも脅して、どんどん金を請求できる。住人は、確認できない(したくない)。
わお、業界の闇だなぁ……なんて思いつつも、これは当然だとも思う。

これが「汚いもの」を見なくて済むことの代償じゃないか。
皆が見たくない入りたくない所に入っているのだから、それぐらい嘘つかれて当然なのかもしれないと思う。


僕らの生活からは「汚いもの」がドンドン離れていっている。離れていくけれど、もちろん無くなったわけじゃない。どこかで「汚いもの」を触っている人がいることを覚えておかなくては。


来週はさらに炭を敷く仕事が待っている(これも実は、業者にめちゃくちゃ高いオリジナル防湿シートみたいのを勧められていたのだけど、BBQ用の炭で十分らしい...)

一度はパラレルワールドに足を踏み入れてみることをすすめます。



2 件のコメント:

  1. おまえの文章好きだわ。なんかこう、情緒があるよね。毎回楽しみにしてます。

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  2. 初のコメントですし素直に嬉しいです。コツコツ書きます。情緒を深めてゆきたい。

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