中国に来て今日で5日。
最初の2日間は上海に滞在していた。
中国当局の規制によってgoogle関連が使えず、VPNを通してどうにか使えるようにはできるけど、これがなかなか通信が悪くてブログもやっと繋がったというところである。本当に大変だな中国は...。
大都市・上海は、東京とさして変わらない風景なんじゃないかと思ったけど、まぁまぁ面白かった。
石庫門という1860年代くらいからの上海の伝統民家は中国の三合院とイギリスのアパートの折衷のようなレンガの民居で、いま残っているのは店が入ったりと観光向けに残していた。
が、それより僕が上海に来てまず驚いたのは、建築から生える無数の鉄パイプである。
正確には、物干し竿である。それが、集合住宅の窓の下からボンボン生えている。日本と違ってベランダに干すのではなく(そもそもベランダがない。ベランダを作る土地の余裕がないということだろう。)、窓の下から垂直に物干し竿が生える。
上海にはほとんど一軒家というものがなく、集合住宅、つまり団地とかアパートに人は住んでいる。そしてそれにほとんど例外なく鉄パイプが生えている。上海の鉄パイプの需要はすごいんじゃないか?
高層ビルとか有名なものもたくさんあるんだけど、僕はこれが面白いと思ってしまった。見るものが決まると足取りは軽やかになるものだ。
ちなみにこれは中国全土に広がる光景なのでは?とも思ったけど、宿で出会った日本に留学していたという中国人に聞くと「上海ぐらいでしか見たことないよ」というので案外上海でこれに目をつけたのは当たっているのかもしれない。
もちろん布団やTシャツだけでなく、下着まですべてが生き生きと風に揺れている。
上を向いて歩けばそこには、魅惑の洗濯物世界が広がっている。
人の生活の下を歩いているという感じが何ともわるくない。暖簾のようでもある。
○どうやってつくるか
なんてことはない、基本的に住居の窓幅と同じ幅の、ロの字型から2本飛び出たみたいな形の鉄パイプが飛び出しているだけである。飛び出しはだいたい2m近い。
建物との接続部分を見ると、直接生えているようなものもあり、ボルトで留めているものもあった。多分これは黙認されている違法(道路にはみ出しているから。日本でやったら危険だとかいろいろ言われそう。)で、住民による後付けだと思うけど、結構しっかり生えている。
そしてその先端付近を針金で建物から吊るような形になっている。吊り構造になっているのである。
上海市民はこのようにして自分の一部である洗濯物を公にさらすのである。日本人は、洗濯物を公にさらすのを嫌う。そこには人間性の違いが見られそうじゃないか。日本人は、自らを外に出すのが圧倒的に下手である。下手というか、出す必要がないというか。対して上海(に限らず中国)では、各々の個が飛び交い、もう大変なのである。静かな料理店は僕が行った限りでは存在しない。人々はみんな何かをわめいている(決して怒っているわけではないと思う)。
自らを外に出すことなしにはこの大陸では生き残れなかったのだろう。海に囲まれた日本ではそこまで自己主張をせずとも生活が脅かされることはなかった。こんなところにルーツを求めるのは早計だろうが、そんなことまで遡って考えてみるのも面白い。
このような中国人の気質と、上海の土地の無さ(ベランダをつくれない)が相まって、このような魅惑の洗濯物世界が発現するのではないか。
実際上海の集合住宅ってあまり面白い建物とは言えないのだけど、この洗濯物が建物を彩る装飾になっているので、見ていて面白い。
これからも中国の他の地域や他の国でも洗濯物と建築の関係をみてみようと思う。
洗濯物の建築史。
なお窓から生える鉄パイプ以外にも、上海では洗濯物の主張がそこかしこで見られる。
なんとなくだけど、上海には下着泥棒なんていないんじゃないかと思った。
最初の2日間は上海に滞在していた。
中国当局の規制によってgoogle関連が使えず、VPNを通してどうにか使えるようにはできるけど、これがなかなか通信が悪くてブログもやっと繋がったというところである。本当に大変だな中国は...。
大都市・上海は、東京とさして変わらない風景なんじゃないかと思ったけど、まぁまぁ面白かった。
石庫門という1860年代くらいからの上海の伝統民家は中国の三合院とイギリスのアパートの折衷のようなレンガの民居で、いま残っているのは店が入ったりと観光向けに残していた。
が、それより僕が上海に来てまず驚いたのは、建築から生える無数の鉄パイプである。
とげとげしている
正確には、物干し竿である。それが、集合住宅の窓の下からボンボン生えている。日本と違ってベランダに干すのではなく(そもそもベランダがない。ベランダを作る土地の余裕がないということだろう。)、窓の下から垂直に物干し竿が生える。
上海にはほとんど一軒家というものがなく、集合住宅、つまり団地とかアパートに人は住んでいる。そしてそれにほとんど例外なく鉄パイプが生えている。上海の鉄パイプの需要はすごいんじゃないか?
鉄パイプが落ちてきたら車はお釈迦である
原色の多い上海の洗濯物事情
高層ビルとか有名なものもたくさんあるんだけど、僕はこれが面白いと思ってしまった。見るものが決まると足取りは軽やかになるものだ。
ちなみにこれは中国全土に広がる光景なのでは?とも思ったけど、宿で出会った日本に留学していたという中国人に聞くと「上海ぐらいでしか見たことないよ」というので案外上海でこれに目をつけたのは当たっているのかもしれない。
もちろん布団やTシャツだけでなく、下着まですべてが生き生きと風に揺れている。
上を向いて歩けばそこには、魅惑の洗濯物世界が広がっている。
木漏れ日ならぬ布漏れ日(フモレビ)
人の生活の下を歩いているという感じが何ともわるくない。暖簾のようでもある。
○どうやってつくるか
なんてことはない、基本的に住居の窓幅と同じ幅の、ロの字型から2本飛び出たみたいな形の鉄パイプが飛び出しているだけである。飛び出しはだいたい2m近い。
建物との接続部分を見ると、直接生えているようなものもあり、ボルトで留めているものもあった。多分これは黙認されている違法(道路にはみ出しているから。日本でやったら危険だとかいろいろ言われそう。)で、住民による後付けだと思うけど、結構しっかり生えている。
そしてその先端付近を針金で建物から吊るような形になっている。吊り構造になっているのである。
図解。2mくらい飛び出しています。
本当に落ちないんだろうか
上海市民はこのようにして自分の一部である洗濯物を公にさらすのである。日本人は、洗濯物を公にさらすのを嫌う。そこには人間性の違いが見られそうじゃないか。日本人は、自らを外に出すのが圧倒的に下手である。下手というか、出す必要がないというか。対して上海(に限らず中国)では、各々の個が飛び交い、もう大変なのである。静かな料理店は僕が行った限りでは存在しない。人々はみんな何かをわめいている(決して怒っているわけではないと思う)。
自らを外に出すことなしにはこの大陸では生き残れなかったのだろう。海に囲まれた日本ではそこまで自己主張をせずとも生活が脅かされることはなかった。こんなところにルーツを求めるのは早計だろうが、そんなことまで遡って考えてみるのも面白い。
このような中国人の気質と、上海の土地の無さ(ベランダをつくれない)が相まって、このような魅惑の洗濯物世界が発現するのではないか。
実際上海の集合住宅ってあまり面白い建物とは言えないのだけど、この洗濯物が建物を彩る装飾になっているので、見ていて面白い。
これからも中国の他の地域や他の国でも洗濯物と建築の関係をみてみようと思う。
洗濯物の建築史。
なお窓から生える鉄パイプ以外にも、上海では洗濯物の主張がそこかしこで見られる。
建物と建物の間を利用する
電柱を利用する
街路樹も使えるスペース
街路樹と電線を利用したアクロバティックなスタイル
なんとなくだけど、上海には下着泥棒なんていないんじゃないかと思った。
フモレビ気持ち良さそうだなぁ、鉄の棒だけピョンピョンでてるのも軽快だね。
返信削除たしかに洗濯物って、日本にいると建物と平行にかかるイメージがあるなぁ。
ベネチアの建物往復してやつも、コレも垂直に伸びてくのは広場のある民族の感覚って感じする
ジンさん
削除洗濯物の向きは結構気になりますよね。垂直に出すのは何となく攻撃的な感じがします。刺さりそう。上海以外で洗濯物をこんな風に干しているのはまだ見ていないので、やはり結構特殊かもです。ベネチアも洗濯物のための土地の余裕はなさそうですねえ